実店舗向けCRMに、Hubspot(ハブスポット)をもっと使いたい場合の解説。

顧客管理システムを考える システム・データ
顧客管理システムを考える

顧客関係管理の方法やツールの進化

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の発展には、AIと機械学習の活用、オムニチャネル体験の重要性の高まりが影響を与えています。

たとえばカスタマージャーニーを創作し、顧客がどのようにブランドとコミュニケーションを取っていくか、を考えたときに、顧客と店舗の双方をつなぐツールがCRMと言えるでしょう。
このCRMをより自店舗にあったかたちで運用することで、顧客のニーズに合わせた施策、コミュニケーション、対応が可能になります。

基本的なメリットを解説した前回の記事はこちら

ここでは基本的なメリットを抑えた上で、さらにどのようなことができるのかを見ていきましょう。

※各トピックの金額は記事作成時点の情報です。最新の情報は各サービス提供会社の公式サイトでご確認ください。

有料版も安価に、状況にあわせてステップアップできる

主に登録されている顧客数(特に、Eメールの配信など”マーケティングとして”使いたいコンタクトの数)によって料金が変動することがありますが、月々数千円~ x プラン数の予算を割くことで、店舗の成長に沿ったCRM運営ができるようになります

それぞれ、プランの違いなら Hubspotの製品一覧 で。具体的な予算は Hubspotを組み合わせて購入 のページで確認すると便利です。

引用:Hubspot 価格ページ。希望するサブスクリプション毎に単価が自動計算される仕組みになっている。
引用:Hubspot 価格ページ。希望するサブスクリプション毎に単価が自動計算される仕組みになっている。

店舗規模に応じて少額からスタート

例えば「1000件の顧客に対してリッチなデザインのメールマガジンを送りたい」「ウェブチャットを導入したい」「CRMの画面で顧客情報を見ながらメール対応をしたい」といったニーズであれば、2400円/月程度の目安予算で実現できてしまいます。

これは試しに導入してみたいと考える店舗オーナーにとっても、ハードルをぐっと下げる価格設定と言えるでしょう。

メールマガジンがもっと送りたくなったら

Hubspotのメールマガジンを送るための料金体系は、顧客データ1000件あたり6000円/月の追加です。(無料でできる範囲の概要は マーケティングEメールが2000通/月まで送信できる の記事参照)

なお仮に顧客登録の数が1万件あっても、メールマガジン等の配信に使う「マーケティングコンタクト」の対象にしない限り、加算対象にはならない点も魅力です。2020年より前は1万件すべてが課金対象でしたが、マーケティングコンタクトの仕組みが導入されて以降は、メールマガジンを配信したい方(他、マーケティング用として使いたい方)のみを選択することで、その分だけ課金すれば良いことになっています。

何件顧客データがあっても、Eメールアドレスや配信許諾が取得できている人、いない人が混在していることはよくあるでしょう。そのような時に、必要な顧客データ数だけを対象に課金計算してくれる仕組みは嬉しいですね。

Hubspotロゴを削除し、自社イメージを重視したくなったら

最小限のアップグレードで、Hubspotのロゴを削除するオプションが付いてきます。フォームやメールマガジンのフッターにあるロゴを削除し、自社ブランドイメージを重視したくなったタイミングで選べるようになっています。

見積書のデザインを変えたくなったら

無料の見積書の機能 の概要で解説したとおり、Hubspotの無料版でも見積書の作成が可能です。これは製品情報の登録もできますので、小規模な店舗運営の際には大変便利です。

一方、よりリッチな見積書デザインを作成したい場合にはアップグレードによるカスタマイズも可能です。本記事作成時点では、この機能には「Sales Hub Professtional」が必要です。

ユーザー1名あたり10000円/月 のコストがかかりますが、5名がミニマムですので、実質50000円/月とそれなりの金額になります。この場合、電子署名機能や、文字起こし機能、営業活動を管理するワークスペースができたりと、より法人営業向けのサービスになりますので、必要性についてはよく検討しておきましょう。

ブログやWEBページ(ランディングページ)を充実させたくなったら

無料ブログ&ウェブサイトの概要 で触れた通り、実店舗のECサイトを運営していて、ウェブサイトのドメインをお持ちの場合、サブドメインを利用してブログの運営が可能です。

ブログ以外にも、ランディングページやウェブページの作成ができますが、「ページ数を増やしたい」「Hubspotのロゴを消してブランディングを重視したい」となったタイミングで、2160円/月のプランにアップグレードするだけで、さらに充実させることができるでしょう。

顧客の動きに合わせたワークフローを設定したくなったら

Hubspotの強力なツールのひとつに、ワークフロー機能があります。
たとえば「顧客Aが、Bの動きをしたら、Cのメールを送る」のように、普段から店舗のスタッフ達が手作業でやっていることを、自動化することが可能です。

  • 誕生日の30日前に、バースデークーポン付きメールを配信する。
  • メールマガジンをクリックした顧客に対して、3日後にフォローメールを送る。
  • 商品を購入した後、レビューを依頼するメールを7日後に送信する。
  • 問い合わせフォームから連絡受けたら、指定の担当者に割り当て、顧客の属性(VIP、新規など)を基準に、重要度判定を行い事前に決めたマークを付ける。加えて、顧客に対してフォローのメールを送る。

等々、一度テンプレ化したらあとは繰り返すだけというような業務の効率化に役立ちます。

なおこちらは Marketing Hub Professional で使うことができるため、106800円/月ほどコストがかかります。決して安くないプランになりますので、「ワークフローの結果、実際に売上につながる施策が実行できるか」「ワークフローの結果、相当の業務時間の削減ができるか」の2点を検討の上、決めると良いでしょう。

複数のSNSアカウントを連携して、一元管理

引用:Hubspot ソーシャル機能
引用:Hubspot ソーシャル機能

SNSの各アカウントと連携し、投稿内容、リプライ、インプレッション数、フォロワー数等を一元管理できる点も、特筆すべき機能の一つでしょう。

この機能は、ワークフロー同様に Marketing Hub Professional で使うことができるため、106800円/月~の予算になります。ただこの金額で、ワークフローもSNSの一元管理も両方行うことができますので、アップグレードした際には活用を検討すると良いかもしれません。

多様なアプリ連携(無料 / 有料)について

引用:Hubspot アプリマーケットイメージ
引用:Hubspot アプリマーケットイメージ

Hubspotには公式アプリ以外にもサードパーティが作成した様々なアプリが存在します。店舗の運営スタイルに応じて、課題を解決するアプリが見つかるかもしれません。

ここでは一部を紹介していきましょう。

Gmail

Gmailの画面からメールを送信する際、Gmailを経由した顧客とのやり取りをすべて、Hubspotの顧客情報に格納することができます。

顧客からの問い合わせがあった場合に、過去のGmailのやり取り(特に他のスタッフが対応した記録など)を探す手間なく、Hubspotの画面を見れば対応記録の確認が可能になります

Google カレンダー

カレンダーアプリは 無料の日程調整ツール を便利にしてくれます。Google カレンダーを同期することで、Googleカレンダーで予定を入れた時間帯 ± 既定の分(前後30分など)、を省き、相手に自分の空いている時間をオンライン上で伝えることができます。

相手はその中から都合の良い時間を選び、メールアドレス等を入れて送信するだけです。その予定は自身のGoogleカレンダーにも反映されます。

店舗であれば、面接予定や来店のアポイント獲得などに便利に使えるでしょう。

ウェブ広告(Facebook / Google)アプリ

店舗で自身の独自ブランドを取り扱う場合は、WEB広告を出したいと考えることもあるでしょう。無料の範囲でも、GoogleやFacebookといった代表的な広告アカウントと連携することで、Hubspot内で概要を把握でき、またアップグレードすることで利用できる「イベント」機能で、顧客情報のステータスへと反映させ、より成果を把握しやすくなります。

SMS(ショートメッセージ送信アプリ)

携帯電話が普及し始めた初期から存在していたSMS(ショートメッセージ)は、近年改めて見直されています。顧客のメールの受信トレイは多くのサービスや、オンラインストアの出荷通知で一杯になっており、店舗からの情報が届きにくい状況と考えられます。

SMSは一通あたりの料金は発生するものの、より顧客に気が付いてもらいやすく、NTTコム オンラインが実施した調査では、93%以上のユーザーが「必ず確認する」「たまに確認する」と回答しています

参考記事 : NTTコムオンライン 【2022年度版】SMSの開封率とSMSが便利だと感じた使い方とは

出典 : NTTコムオンライン
出典 : NTTコムオンライン

迷惑メールのように多数のメッセージを送付することは避けるべきですが、自店舗の顧客へ向けたパーソナルなメッセージ、例えば特別な商品が入荷した時や、お取り置き中の商品についての確認など、必ず伝えたい内容であればSMSを利用すると効果をあげやすいでしょう。

Sakari SMS などを中心に、顧客の管理ページからSMSを送信することができるアプリがあり、またそのやり取りについても全て顧客ページで一元管理ができるため、顧客からの問い合わせにもスムーズに過去記録を把握できます。

LINEアプリ

LITTLE HELP AGENCY によるLINEアプリもHubspotの活用の幅をさらに広げます。LINEの情報とHubspot内の顧客情報を紐づけることで、LINE友だちのリッチメニューをパーソナライズしたり、HubSpotのワークフローを使用してLINEメッセージを自動配信したりできます。

ワークフローについては Marketing Hub Professional で使うことができるため、106800円/月~の予算になりますが、先に記載したそれ以外のワークフローや、SNS管理、広告のイベント管理など全て含まれるので、包括的に考えて価値があるかどうかを判断していきましょう。

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