時間管理と優先順位の設定は、
接客において、効率の良い業務は、顧客満足度に大きな影響を与えます。
というのも、接客業の特性上、顧客対応の迅速さや正確さが求められる中、さらにスタッフは同時に多くの業務をこなさなければなりません。
この記事では、店長に求められるスキルとして、接客業における時間管理と優先順位設定の重要性について、考えてみたいと思います。
効率的なタスクマネジメントが大切
接客業では、業務内容が多岐にわたるため、効率的なタスク管理が重要です。
例えば、レストランでは、接客、オーダーの受注、料理の提供、清掃、レジ業務など、さまざまなタスクが重なり合います。これらの業務をスムーズに進めるためには、各タスクの優先順位を明確にし、時間を無駄にしない工夫が必要となるでしょう。
下記のレポートによると、「タスクの細分化」「優先順位付け」が上位にくるという結果も出ているようです。
タスクを管理するスキルを身につけるためのアイデア例
この視点で考えると、店長の仕事の一つは、タスクを細分化しそれぞれの重要度と緊急度に応じて、優先順位を設定することです。
例えば、顧客からのオーダーを最優先とし、次に顧客がいない間に行うべきバックヤード業務を設定するなど、柔軟な判断が求められます。
店舗によっても異なると思いますが、店長がチームメンバー全体を動かしたいと思ったら、共通して大切なポイントは「ルールづくり」でしょう。
固定されたタスクを書き出して共有する
店舗には誰もができる、共通作業があるはずです。ルールを作らないと、空いた時間に何をしたらいいのかわからない、空いた時間ができたら手が止まってしまうスタッフが出てきます。
まずは固定されたタスク(ルーティンワークなど)を書き出してみましょう。これは最終的に全員にシェアするものですので、フォーマットは何でもよいですが、スプレッドシートなど共有しやすいものに記入していくと後から便利です。
タスクを順番に並び替える
ひと通り書き出したら、次に優先順位に並び替えてみましょう。
店長とそのスタッフ、チームメンバーの最も大きな仕事は、お客様を接客し販売する事です。次に、店舗を最適な状態に維持する事。例えば、接客や、来店促進につながる顧客様への連絡の優先順位は高く、アイドルタイムに行う店舗のクリンネスはその次。そしてバックヤードの整理やデータ管理にかかわる業務はその次、等です。
タスクは順番に発生するわけではない。イレギュラーに備える。
優先順位を決めたところで、その順番通りに作業を進められるわけではありません。
優先順位を低い作業をしているときに、優先順位が高い案件が発生することもありますから、その判断基準も可能な限り明確にしておくべきでしょう。
大枠の考えとしては、
- お客様に近い業務・タスクなのか、会社に近い業務・タスクなのかを判断した上で、
(お客様に近い場合) - お客様の販売に関するタスクなのか、アフターセールス(クレーム対応等)に関するタスクなのか
- お客様の今現在の販売に関するタスクなのか、将来の販売可能性に関するタスクなのか
(会社に近い場合) - 上司や評価者に関するタスクなのか、自身が行うタスクなのか、部下に依頼するタスクなのか
のように、分けるとわかりやすいかもしれません。
店長がスタッフに教えたい、タスク優先度の考え方を図解してみる
チームメンバーにイメージを持ってもらうことも大切です。予期せぬ業務が多数起こる現場でも、個々がルールに沿って判断できるようになれば、店舗全体で、同じ方向に進むことができます。
例えば、下記のような優先度決めをしてみます。
優先度の判断を共有できたら、優先スコアとして「1 – 5」や「1 – 10」の数字を割り当てる
書き出したタスクを元に、優先度を決めたら、さらに優先スコアとして「1 – 10」の数字を割り当てても良いでしょう。
仮に店長が不在で、指示した業務がすべて終わってしまった後でも、スタッフはやることに迷わず、その優先スコアを元に高いものから順に行っていく、という動きを作ることができます。
アイゼンハワー・マトリックスでタスクマネジメント
アイゼンハワーマトリクスとは、タスクを「緊急度と重要度」で整理する手法として有名で、最も重要なタスクを特定し、効果的に進めることができます。この手法を用いることも考えてみましょう。
ピークタイムの効果的な管理
接客業におけるピークタイム、つまり顧客が集中する時間帯の管理も考えておきましょう。
例えば、昼食や夕食の時間帯、セール期間中など、特定の時間帯には多くの顧客が店舗を訪れます。このような時期には、迅速な対応が求められ、時間管理の重要性が一層高まります。
店長に必要なタスクマネジメントスキル
事前の準備と計画を練っておきましょう。
例えば、ピークタイムの開始前に在庫の確認や商品陳列を完了させるためには?など。
とにかく、顧客対応に集中できる環境を整えます。従業員の配置を工夫し、混雑時に特定のタスクを担当するスタッフを増員するなどの柔軟な対応も必要です。
さらに、ピークタイム中に発生しやすい問題を予測、書き出しておき、事前に判断基準とルールを設定することが有効です。
従業員のスケジュール調整とシフト管理
効果的なスケジュール調整とシフト管理は、接客業における時間管理のベースになります。
従業員の能力や経験、ピーク時の需要に応じたシフトを設定することで、業務の効率性を最大限に高めることができます。特に、人手不足の状況下では、スケジュール管理がさらに重要となります。
店長に必要なタスクマネジメントスキル
まず、従業員のスキルと能力を把握しましょう。それに対して、適材適所の配置を行うことが大切です。
また、フレキシブルなシフト制度を導入することで、従業員の生活スタイルや希望に合わせた柔軟な勤務体制を提供します。
シフト管理のためのデジタルツールを活用し、シフトの変更や休暇の申請を迅速に行えるようにすることも効果的です。
テクノロジーの活用による業務効率化
現代の接客業において、テクノロジーの活用は、時間管理と優先順位の設定において大きな役割を果たします。例えば、POSシステムや在庫管理システムを使用することで、業務の自動化や効率化を図ることができます。
店長に必要なタスクマネジメントスキル
多くの場合、これらのシステム面は、本社機能を持つ部署の中で行われることが多く、現場の店舗で実施する機会はあまりないでしょう。ただ小規模運営の店舗では、店長がプレイヤーとして多くの業務を担っている場合、下調べやテスト導入をする必要もあります。
テクノロジーを活用することで、業務の一部を自動化し、スタッフがより重要なタスクに集中できる環境を整えることが可能です。例えば、在庫管理システムを使用してリアルタイムで在庫の状況を把握し、在庫切れや過剰在庫を防いだり、在庫の棚卸をスムーズに行うことができるPOS連動型のシステムを検討する等がこれに該当します。
まとめ
接客業における時間管理と優先順位の設定は、業務の効率性を高め、顧客満足度を向上させるための重要な要素です。
上に挙げた「効率的なタスク管理(特に)」「ピークタイムの管理」「従業員のスケジュール調整」そして「テクノロジーの活用」により、時間を有効に活用することができるでしょう。
そして店長のみが把握しているのではなく、チームメンバー全員でその優先度やタスク内容を把握、理解しておき、個々に判断できる状態を作り上げていくことが店長の仕事と言えます。